心理カウンセラー 長谷川由紀のブログ

米国ニューヨーク州公認の心理カウンセラーが心について解説します

脳の構造は変えられる?6 < ポジティブな感情をじっくり味わおう>

前回のブログ記事『脳の構造は変えられる?5』では、幸せを感じやすい脳に変えていくための手軽なトレーニング方法の1つ目「 “ありがたい” に気付く」をご紹介しました。今回は2つ目のトレーニング方法として、「ポジティブな感情をじっくりと味わう」をご紹介します。

 

前回の記事でご紹介したEさんの事例を通して、日々の生活にはさまざまな “ありがたいこと” が散りばめられていることをお話ししました。私たちは、日常生活で当然のこととなってしまった 幸せ を見逃してしまいがちな上、見つけたところで大して幸せに感じなくなっていることが多いものです。

 

また、人間の防衛本能から、ポジティブな経験よりネガティブな経験の方がより強く・詳細に記憶される傾向があることも知られています。こうしたさまざまな要因により、私たちは幸せを感じられる機会を見過ごしがちであると考えられます。しかし、ネガティブ思考や鬱・不安症を克服するには、ポジティブな感情を感じることがとても大切です。そこで実践していただきたいのが、「じっくりと味わう」ということです。

 

味わう際のポイントは、まず感じることに集中すること。何か作業をしている最中であれば、手を止めて ポジティブな感情 を味わうことに集中しましょう。そして、体の感覚にも注目してみましょう。

 

再びEさんの事例を使ってご説明します。

日々の "ありがたいこと”を思い返しているとき、どのような感情・身体感覚が起きましたか、と尋ねました。

 

「ほっこりとした気持ちになって、体の中が暖かくなったような気がします」とEさん。

さらに、Eさんに左胸の上に手を置いてじっくりと感情や体の感覚を観察してください、とお願いしました。するとEさんは、

「胸や喉のあたりがすーっと軽くなって、呼吸が楽になったような気がします。呼吸のペースもゆっくりになりました。なんだかとても暖かくて落ち着いた気持ちです。胸に手を置くことで、感情や感覚を感じやすくなった気がします」と話してくださいました。

私はセッション中に、クライアントさんに左胸に手を置いて体の感覚を感じてみるようにお願いすることがしばしばあります。すると多くのクライアントさんが、胸に手を置くだけでこれほど感情や体の感覚を感じやすくなるのかと驚かれます。日々の生活では忙しさのあまり、自分の心や体が何を感じているのか分からなくなってしまうことがあります。胸に手を置くというテクニックはとてもシンプルですが、自分自身に立ち戻りたいときに役立ちますので、是非試してみてください。

 

今回の『脳の構造は変えられる?』全6回シリーズでは、私たちの脳が持つ潜在能力について、及び手軽にできる脳トレーニングをご紹介しました。ネガティブ思考からポジティブ思考に変えていくのは一朝一夕にはいきませんが、日々のちょっとした心がけで着実になりたい自分に近づけるはずです。毎日手軽にできるトレーニングを活用しながら、日々の暮らしがもっと楽しくなる思考パターンを身に付けましょう!

 

次回のシリーズ『恋のトキメキはどうして終わる?』では、トキメキの正体を知ることで、トキメキに振り回され過ぎない恋愛をする方法について考えていきたいと思います。

 

長谷川由紀

www.yukihasegawa.org

 

☆おことわり☆

本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。

※ 本ブログの事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。