心理カウンセラー 長谷川由紀のブログ

米国ニューヨーク州公認の心理カウンセラーが心について解説します

解釈を変えれば気分も変わる2<他の人に聞いてみよう>

前回の記事では一つの事象に対する解釈は人それぞれ、千差万別であるというお話をしました。今回は、ご自身の解釈の癖にとらわれず、複数の解釈に目を向ける方法について解説します。

 

ご自身の解釈を絶対の「真実」と思い込んでしまうのはよくあることです。というのも、解釈の仕方は小さい頃から親の影響等を受けながら少しずつ培われ、その解釈を通して世の中を理解し、さまざまな判断をしてこれまで生きてきたからです。

 

それではAさん(女性、40代会社員)の事例を使って考えてみましょう。

 

Aさんは、人が自分をどう思っているかが日頃からとても気になり、人のささいな言動や表情、声のトーンの変化に非常に敏感で傷つきやすく、生きづらさを感じていました。

 

ある日、スーパーに立ち寄った際に友人を見かけました。そこでAさんは微笑みながら会釈をしたのですが、友人は挨拶を返してくれませんでした。そのときAさんは瞬時に、

 

「私が何か悪いことをして嫌われてしまったに違いない」

 

と解釈しました。しかし何をしたかは全く思い当たらないといいます。嫌われたと信じ込んだAさんはその後悶々としてしまい、加えてこれまでうまくいかなかった人間関係を思い出して、

 

「自分は人付き合いが下手だ。みんなに嫌われている」

 

とさらにネガティブな解釈を重ねてしまいました。

 

このように次々とネガティブな解釈を重ねて落ち込んでしまうことはないでしょうか。そのような負のスパイラルに落ちてしまったときの抜け出し方として、他の人の解釈を聞いてみるという方法があります。

 

そのとき、なるべくご自身とは違った物の見方をする人を選ぶとよいかもしれません。たとえば、前回の記事でご紹介した私のポジティブな友人にAさんの状況をどのように解釈するか尋ねればおそらく、」「何か考え事でもしてて気づかなかったんじゃない?」といった答えが返ってきそうです。

 

気軽に尋ねられる友人や家族がいればよいですが、そうでない場合は「あの人ならどう考えるだろう?」と想像してみるだけでも、ご自身の解釈だけが唯一のものではないということに気が付けるかもしれません。可能であれば、6人くらい思い浮かべてみましょう。おそらく多種多様な回答が返ってくるのではないでしょうか。

 

 

このように、ご自身の解釈から一歩下がって距離をとり、その他さまざまな解釈が存在するということに気が付くだけでも、少し気持ちが楽になることがあります。そして他の解釈の存在を受け入れることで、生きづらさが緩和されていくかもしれません。

 

しかし、なかなか想像することが難しいと感じられる場合もあるかと思います。そうした場合に使える手段を次回の記事でご紹介いたします。

 

長谷川由紀

 

☆おことわり☆

本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。

事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。