心理カウンセラー 長谷川由紀のブログ

米国ニューヨーク州公認の心理カウンセラーが心について解説します

感情に支配される<扁桃体ハイジャック?!>

不安や恐怖、怒りといった強いネガティブな感情によって扁桃体が活性化されると、理性を失い、感情に振り回される状態になるというお話を前2回にわたってしました。このように、感情に体と脳を乗っ取られてしまったような状態はまるで、ハイジャックされてコントロールを失った乗り物のようです。

 

こうしたことから、アメリカでは扁桃体が過剰反応してしまっている状態を「扁桃体ハイジャック (amygdala hijack)」と呼びます。この言葉は、ダニエル・ゴールマンという著名な心理学者がベストセラーとなった著書『EQ こころの知能指数』(1996年、英題 “ Emotional Intelligence: Why It Can Matter More Than IQ”)の中で初めて使われたといわれています。

 

ちなみに著書のタイトルに使われているEQという言葉は、Emotional Quotientの略であり、個人の感情的知能を測る指標です。これは、様々な状況で感情を認識し、理解し、管理し、効果的に表現する能力を指します。高いEQを持つことは、良好な人間関係やキャリアを築く上で非常に重要だとされています。IQ(知能指数)の対になる言葉として造られたもので、いくらIQが高くてもEQが低くては豊かな人生やキャリアを築くのが難しいといわれています。

 

このEQを発揮するためにも、扁桃体の役割をよく理解し、ハイジャック状態を未然に防ぐこと、もしくは早く立ち直る対策が大切になります。

ところで私は「扁桃体ハイジャック」という言葉が気に入っています。的確な比喩で感覚的に理解しやすいだけでなく、キャッチーで可愛らしく、ユーモアがあるネーミングだと思うからです。ご自身や友人、家族、上司、同僚が感情に振り回されているときにも、「いま自分(あの人)は扁桃体にハイジャックされているんだな」と心の中で呟くだけで、感情的な場面を少し冷静に、かつユーモアも交えて捉えることができるかもしれません。

 

次回の記事では、闘争・逃避モード/扁桃体ハイジャックからの脱却を手助けする簡単な方法をご紹介します。

 

 

 

長谷川由紀

 

☆おことわり☆

本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。また本ブログの事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。